中古マンション「修繕積立金の誤解」
2018.07.24
最近は中古マンションが人気ですね。
リノベーションで綺麗にして、さらに新築よりも値段が安く、とても魅力的かと思います。
ところがマンションに住む際には、将来大規模な修繕をするための備えとして「修繕積立金」を毎月支払う必要があります。
この金額は、マンションの管理会社の長期修繕計画を元に決められています。
中古マンションは新築マンションに比べて劣化が激しく、大規模な修繕が必要となることが多いため、新築よりも修繕積立金が高くなるケースが多いです。
物件価格は中古マンションの方が安いですが、修繕積立金も考慮しなければなりません。
売買契約時に行われる重要事項説明でも修繕積立金に関する説明がありますが、誤解のないようチェックしたい点をまとめてみました。
・修繕積立金がたくさんあると安心感があるような気がしますが、根拠はありません。
安心かどうかは修繕積立金の総額では判断できません。
そのマンションの規模とこれまでの修繕実績によって判断が変わってきます。
例えば、規模の大きなマンションで何年間も大規模修繕を実施していなければ一定の修繕積立金が蓄積されています。一方、最近、大規模修繕を行っていれば修繕積立金の総額は少なくなります。
・滞納の確認
売買対象となる部屋に管理費や修繕積立金の滞納がある場合、マンション管理組合がその所有者に対して滞納金を支払うよう請求するのは当然です。
ただ、この所有者がマンションを売った場合、所有者(売り主)に対してだけでなく、新たな所有者(買い主)にも請求できることになっています。
このため、売買対象に滞納金がある物件は売り主が滞納金を完済したうえで取引できるよう、交渉してください。
さらに注意しなければならない点は、別の部屋の管理費や修繕積立金の滞納です。
この滞納を回収できなければ、結果としてマンション管理組合(買い主を含むマンション所有者)で肩代わりしなければならなくなる場合もあります。
5年以上放置すると、消滅時効にかかって請求権が消えることがあるので注意しなければなりません。
購入前に不動産業者に必ず確認しておきたい点です。
・「修繕積立金の値上げの予定はありません」にご注意
購入時に「修繕積立金の値上げの予定はありません」と説明されたにも関わらず、半年もしないうちに値上げされることがあります。
不動産業者は修繕積立金の値上げ有無について管理会社が作成した「管理に関する重要事項調査報告書」に記載された内容をそのまま説明します。
ただ、この報告書の修繕積立金の値上げ予定は、管理組合の総会で正式に決議された場合に「値上げの予定あり」と記載されることになっているのです。
例えば、管理組合内で「そろそろ値上げしないと次の大規模修繕の費用が捻出できない」「来年の総会では値上げの決議をしよう」といった議論があったとしても、正式に決定していない限りは「値上げの予定なし」と記載されてしまいます。
このため、「修繕積立金の値上げの予定がない」と説明されたとしても、不動産業者に総会議事録を見せてもらったり、管理組合での議論の状況を確認したりしておくべきでしょう。
いかがでしたでしょうか。今回は中古マンション購入時の注意点をまとめてみましたが、より良い物件を購入するために不動産購入時には不動産業者に色々と質問を投げかけてみることをお勧めいたします。