民泊経営は課税4倍!?
2018.08.08
住宅宿泊事業法(民泊新法)が平成30年6月15日に施行され、「民泊」が本格的に解禁されました。
所有する不動産の空き部屋や自宅になどを活用して収入を得ることができますが、民泊に関する税金の仕組みをご存知でしょうか?
知らずに運営をすると、結果マイナスが生じる可能性もあります。
まず所得税です。
国税庁は、宿泊客から受け取った料金を確定申告する際の注意点を公表しました。
注目は「所得区分」です。
民泊によって得た利益は、部屋を貸して得るため「不動産所得」と思いがちですが、原則では「雑所得」として扱うとされています。
考え方は、民泊の収入には宿泊費の他に寝具や電気・水道の提供、部屋の清掃などのサービスの対価が含まれているため、不動産所得には該当しないといいます。
税率は所得水準に応じて15%~55%(住民税10%含む)です。
雑所得は一般の会社員の場合、20万円以下なら申告する必要はありませんが、他の所得区分と損益通算ができないことに留意が必要です。
例えば民泊運営で赤字になっても、給与など他の所得と相殺できず、課税所得が減らせません。
損益通算できる対象は、雑所得扱いの年金収入や為替差損益など一部に限られます。
民泊に関するもう一つの重要な税金が、固定資産税です。
現行では居住用の家屋の敷地は特例措置(住宅用地の特例)があり、税金が軽減されています。
200㎡までなら評価額が6分の1に、200㎡超は3分の1となります。
ところが民泊を運営すると、その規模によっては居住用と認められず、軽減措置が外れる可能性があります。
一般的な戸建の場合、本人が居住する面積が半分以上であればそのまま特例対象となりますが、半分未満になると部分的か全面的に特例の対象外となる規則になっています。
自宅の大部分を民泊として営む場合は、軽減措置が外れる可能性があるので要注意です。
税理士の話しでは、「ケースによっては納税額が4倍になることもある」といいます。
また相続税にも注意です。
税制では居住用の宅地を、同居している子どもが相続した場合、評価額を8割も減らせる特例(小規模宅地等の特例、330㎡まで)がありますが、民泊を運営していた場合は居住用とみなされず、特例適用対象外となる可能性があります。
賃貸事業などでは50%の評価減が認められますが、民泊は営業日数に上限(年間180日)があることなどから事業と言いづらく、特例が適用されない可能性があるといいます。
将来かかる相続税の負担が増えかねないことに留意は必要です。
所得が発生すれば納税は義務となります。
民泊運営をお考えの方は、課税の仕組みをよく理解しておく必要があります。