大工がいなくなる?
2018.07.12
大工がカンナで木材を削り穴を開け柱や梁を組んでいく更地であった土地に戸建住宅が姿を現す家を建てると聞けば、そんな風景が誰しも頭に浮かぶと思います。
しかしこうした建築現場は今では右肩下がりになっており、木造建築の95%以上はプレカット工法を使用しているのが現状です。
プレカット工法とは、住宅建設に用いられる木材を工場であらかじめ機械で加工しておいて、現場ではほぼ組み立てるだけという工法であり、コストカットや工期短縮に資するプレカットが
急速に普及しています。
これに対して木材1つ1つの加工から組み立てまでを建築現場で行っていく従来の大工さんや職人さんの手作業による伝統的な工法もありますが機械作業での精密加工と時間コストの削減に
より現在ではプレカット工法が主流になっています。
木材加工はほぼすべて機械が担う「工場の生産能力は月8.5万坪」であり、平均的な戸建て住宅の広さを30坪とすると工場の生産分だけで月に約2,500戸もの家が建つ計算になります。
人間の仕事は木材の梱包や運搬、機械のメンテナンスといった業務になり工場によっては機械化を進めて工場内に人がいない真っ暗な空間が続いている。
顧客も大手ハウスメーカーから地元の工務店まで広がりプレカット抜きに木造住宅は成り立たなくなり、プレカット市場の裏には木造住宅の変化が起こり始め柱や梁を組み筋交いを入れるこ
とで骨組みを作る昔ながらの在来工法が主流になって来ました。
ですが1970年代からコストと工期を圧縮し住宅を大量に供給するための手法として柱の代わりに壁で家全体を支える2×4「2×6」工法が主流になりました。
プレカット工法の背景には、在来工法の担い手であった大工の「人材需要の衰退」が大きな変化として今起こっています。