タイル浮きにご注意を!
2018.06.06
日本では多くのマンションやビルの外壁にタイル貼りを使用しております。
理由はコンクリートを雨風に直接さらさないという耐久性や美観が良いなどの理由で採用されることが多いようです。
しかし近年、全国で老築マンション・ビルのタイルが剥がれ落ちています。
タイルが高層階から道路に落下すればそれはもはや凶器となります。
東京都三鷹市ではあるビルの外壁から台風の強風でタイルが剥がれ落ちてしまい付近を歩いていた男性に直撃して怪我をしました。
また大阪市でも9階建ビルの6階付近のタイルが縦1m・横2mにわたり落下して、信号待ちの女性の頭に当たる事故がありました。
事例の中には、築2年の都内のマンションで6階付近からタイルが落下したケースもあります。
このマンションは他にも明らかにタイルが浮いている箇所がありましたので急遽足場を組んでタイルの調査を行ったところなんと全タイル20%以
上がいつ剥がれてもおかしくない状態でした。
即座に売主業者に報告され、業者の負担で修復されました。
タイルの剥落事故が起きたり異常なタイル浮きが発生しているタイルの施工方法には「コンクリート直貼り工法」が多いようです。
現在では「弾性接着剤貼り」という工法が普及してきております。
タイルが浮く原因はいくつかあります。
建物本体のコンクリートとタイルの間に塗る下地モルタルの不足や施行不良。
ひび割れを目地の中に起こすための「ひび割れ誘発目地」がありますがタイルがコンクリートに引っ張られて割れ雨水などが侵入してタイル剥落
の原因となっています。
上記、築2年のケースは稀ですが多くの場合は老築物件で経年劣化が原因と言われています。
実は外壁タイルの施工不良は品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)の対象外で売主の瑕疵担保責任の対象外なのです。
同法で責任を問えるのはあくまで「構造耐力上、主要な部分」「雨水の侵入を防止する部分」のみとなりなす。
国土交通省は2008年、外壁タイル剥落事故の多発を受け「定期報告制度」を改訂し、外壁タイルの打診検査を義務化しました。
定期的な調査と報告を怠ると、マンション管理組合などは罰則(100万円以下の罰金)の対象となっています。
オーストラリアやスイスなどいくつかの国では外壁タイル貼りを法律で禁じています。
日本でも高層建物の外壁タイル使用について検討される日も近いかもしれません。