「地面師」背景に地価上昇と高齢化

2018.06.13

以前、当ブログで「地面師」の五反田での手口を掲載しましたが、今回は横浜で実際にあった詐欺被害の手口を紹介させて頂きます。

◆前回のブログはこちらからどうぞ

地主になりすまし、架空の土地取引を持ち掛けては多額の代金を騙し取る。

近年こういった詐欺被害が相次いでいます。

背景には都市圏で地価の上昇が続く一方、所有者の高齢化で放置されたままの土地が増えていることが挙げられます。

横浜市内の住宅街にある約450坪の更地を舞台とした事件で、2月に警視庁が摘発をしました。

被害者は東京都内の不動産会社社長でした。(以後、Aさん)

事の発端は、同業の知人からの連絡でした。

「地主の息子がギャンブルで借金を抱えている。家族に内緒で土地を売り、金を工面したいらしい」「早くしないと他に買われてしまう」と言って早急な割安案件ということを伝えていまし

た。

土地の価格は約2億円。

Aさんは実際に土地を見に行き転売の見通しも立ったので購入することを決めました。

契約時には地主を名乗る男も立ち会いました。

その時、土地の権利証書を持っていなかったという気掛かりな点があったといいます。

しかし運転免許証を示されたため本人と疑わず代金の一部に当たる1億1千万円を支払いました。

Aさんが詐欺だと気づいたのは、移転登記から1週間後、印鑑登録証が偽装されていて発覚しました。

本当の地主は十数年前に土地を購入して以降、放置し続けていました。

本件では5人が起訴されましたが現金は返ってきていません。

以前、地面師が多発したのは80年代後半から90年代前半のバブル期でした。

地価の高騰に伴い投機目的の土地取引が暗躍の土壌になっていました。

近年も地価の上昇が続き地面師が動きやすくなっています。

一方で地主の高齢化が進み管理が不十分な土地や空き家が増えています。

地面師の環境が整っているということです。

昨年の11月にも東京・赤坂の土地を購入しようとした「アパグループ」から約12億5千万円を詐取したグループが摘発されています。

土地を購入する際は、必ず地主の本人確認を徹底してくてはいけません。

地主は不動産を放置しないようにしっかりとした管理をしないと知らないうちに事件に巻き込まれてしまうこともあります。

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