高利回り物件は空室リスクと闘い続けなければならない

物件を購入する指標として利回りは重要なファクターの一つになります。

不動産投資は他人資本(融資)と期間のレバレッジを掛けて行う性質上、その利回りが高ければ高いほど返済期間を短縮することができますので早く元本返済・無借金にすることができます。
物件を収集する際には誰しも必ず確認する事項です。

しかし収益性の高さと賃貸ニーズは概して逆行する傾向にあります。
物件の価格は、建物(中古の場合は未償却残高)+土地(相続税路線価)の合計金額である積算評価法による価格と、収益還元法による還元利回り価格、その両方を按分して決まります。

賃貸ニーズが高ければ高いほどその期待値が大きくなり土地の実勢価格と相続税路線価の額が乖離します。
これが収益不動産の所在地が都心であればあるほど収益還元法が金融機関にとってメインの評価法になる由縁です。

OMパートナーズがある西麻布で利回り5%の一棟収益物件が売りに出されれば瞬殺で買主が決まります。
出回るのは2~3%台の案件がほとんどです。

利回り5%で融資期間20年・金利0.65%でも現金を50%は投下しないとOMパートナーズが健全値としている基準のキャッシュフローは確保できず常にデフォルトするのではないかという恐怖心との闘いになり時には正常なジャッジができなくなる恐れがあります。

現金を抑えるのであれば新築物件を購入するか、もしくは土地から仕入れて建物を建築するしか方法はありません。

新築で満室想定利回り4.5%で期間35年・金利0.65%でも頭金だけで物件価格の20%は必要になります。
価格帯は5億円~10億円が相場ですので現実的に取り組めるのは数億の現預金を投下できる限られた一部の富裕層になります。

一方電話営業で販売している都心のワンルームは価格が4,000万円前後で表面利回り4.25%・金利1%台・金融機関によっては融資期間が40年までとれますので良くも悪くもレバレッジ効果でキャッシュフローは回ります。
これに空室保証家賃付きで提案されたら購入に踏み切るバーも一気に低くなるわけです。

しかし考えるまでもなく融資期間40年の返済の場合残債が50%以下になるのは20年は掛かります。

28歳で購入して48歳です。

消費税増税により消費する物の値段が上昇しても給与が増えない現在のデフレ下では20年後の家賃は下落する可能性が非常に高いと踏んだほうがいいでしょう。
日本の首都、東京都心には「人・モノ・カネ」が一極集中し、またそのサービスの種類・新しいビジネスモデル・ITを駆使した産業が次々と生まれては淘汰されながら、日々めまぐるしい勢いでその変貌を遂げていってます。

今最新の設備マンションであったとしても、20年後には経年劣化で使い物にならないと思っていた方が良いでしょう。
またワンルームマンションの専有面積も20年前は18㎡でしたが現在は25㎡が主流です。

今現在時点での主流タイプの新築マンションを購入したとしても、20年後も主流であり続ける保証はどこにもありません。
別の側面から見ても近い将来インフレになり上場企業の給与水準が今より1.5~2倍にならない限り家賃は下落するものだと踏んでおいた方が得策でしょう。

都内23区内の年収格差も年々拡がっています。

港区の平均所得は1,000万円を優に超えており、一番低い区の平均所得は300万円台でその格差は実に3倍以上です。
ワンルームマンション投資は港区・千代田区・中央区が良いでしょう。

前述の都心3区でさえもしっかりとした目的のもと資金計画を立てて運用していかないと失敗に終わる可能性を秘めています。
2020年開催の東京オリンピックが終わった後はまた経済市況が変わっていくことは想像に難しくないことでしょう。

所有している不動産の収支シュミレーションをして芳しくないデータがでたら多少の損失を被っても許容範囲なら早期売却も視野に入れましょう。

先日も言いましたが、経営は時にはリストラも必要だということです。

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